
目に見えない「香り」を分類することは、洋の東西を問わず永年の夢のようで、現在でも「全ての香り」を科学的に分類する方法は確立していないとのこと。
日本のお香の世界では、室町時代末期に「六国五味・りっこくごみ」と言う
「
香木(沈香)の香り」を分類する体系が成立したといいます。
はたして、どんな物なのでしょうか。
室町時代、「佐々木道誉」が収集した170余の
香木を、「足利義政」の命を受けて、宮廷の香所をつかさどっていた「三條西実隆」、義政の兵学師範であった「志野宗信」、茶道の祖である「村田珠光」ら文化人たちが分類・判定したのが「六国五味」と言う体系(「
香りの手帳」福武書店より)だということです。
沈香を、「産出地名・出国港など」から6つに分類し、さらに香りを「味」で5つに分けました。
以下、「
香りの手帳」を参考にした一例です。(漢字および産地や味は文献により異なります。)
伽羅(きゃら)・・・・・・・・ベトナム・・・・・・・・・・・・・・・・辛(しん)
羅国(らこく)・・・・・・・・・タイ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・甘(かん)
真那蛮(まなばん)・・・・インド・マナバール地方・・・・酸(さん)
真那賀(まなか)・・・・・・マラッカ・・・・・・・・・・・・・・・・無味
佐曽羅(さそら)・・・・・・・インド・サスバール地方・・・・しおからい(かん)
寸門多羅(すもたら)・・・スマトラ・・・・・・・・・・・・・・・・苦(く)
(*「しおからい」という漢字があるのですが、パソコンで出ませんでした。あしからず。)
ただし、香道各流派・お香メーカー各社それぞれ分類が異なりますので、絶対的なものでなく
「お香の歴史・文化」と捉えた方がいいのかもしれません。
まだまだ未知の部分が多い「お香の世界」ですね。
**(写真) 六国揃え
京都・松栄堂 ¥53000-税別