名香「岑の松」
昨日(4月21日)の徳川美術館での「名香鑑賞会」で聞くことのできた名香三種の内のひとつ、名香「岑(みね)の松」をご紹介します。
当然写真撮影は許されず、また図録等を探しても写真が無かったため、会記の一部を写真にしました。
将来、図録等で紹介された時に、入れ替えたいと思います。
名香「三吉野」に続いて、二度目に東山天皇の勅命香、名香「岑の松」(木所:新伽羅)を鑑賞しました。
香を聞く前の志野流香道若宗匠のお話によると、「新伽羅」とは、十分な良い香りがするものの、「伽羅」と呼ぶには今一歩熟成度が足りないと判じられた香木だそうです。
実際に聞いてみますと、少し酸味のある、森に吹き渡るそよ風のように感じでしょうか。心細げな香りではありました。
「歴代天皇総覧(笠原英彦著)」によると東山天皇は第115代で在位が1687~1709年。時代は「泰平な元禄の時代であり、五代将軍徳川綱吉による生類憐みの令の発布や赤穂浪士の討ち入り事件などが世情をにぎわしていた。」ということ。
時の天皇が愛した香りを、今感じていることを考えると、まことに感慨深い物があります。
「道具飾席」で本体を拝見すると、小さな香木で、「三吉野」の半分か1/3くらいの大きさでしょうか。手元に資料が無いのでなんともいえませんが、「三吉野」の重さから判断すると、10gそこそこの物でしょう。
大変貴重な物を切り取って鑑賞させていただきました。
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